私たちについて
環境動態研究グループでは、放射性物質の放出や環境汚染事象が生じた際の環境影響を評価するために、大気・陸域・海洋のモデルや予測システム、解析手法の研究・開発を行っています。これら技術の研究開発や高度化には、モデル検証のための基礎データが必要です。このため、海洋や陸域での試料採取や調査も行っています。さらに、放射性物質や安定同位体を利用した環境中の物質循環研究に取り組むことで、開発したモデルや予測システムの妥当性検証に役立てるとともに、地球温暖化などの社会的課題の解決を目指します。
お知らせ
- 2025/02/04
- 以下の研究成果がプレス発表(2025.01.21)されました。
乾燥と湿潤の繰り返しが土壌のCO2放出を増大させることを解明
- 2025/02/03
- グループホームページを公開しました。
研究開発
環境動態デジタルツイン
放射性物質を含む環境負荷物質の環境動態の把握のための研究開発を行っています。大気圏・陸圏・水圏・生物圏における物質の移行過程をシミュレートするためのモデルやシステムを開発し、各圏における物質循環の理解を目指しています。近年では、これら複数のモデルを組み合わせることで、各圏における物質の環境動態を包括して評価可能な環境動態デジタルツインの研究開発に取り組んでいます。
- 放射性物質の様々な条件の大気拡散計算を高速化-新開発の「WSPEEDI-DB」で計算時間が1/100に!-
- 建物を考慮した詳細な放射性物質の拡散計算に基づく線量評価を初めて実現
-局所域高分解能大気拡散・線量評価システム「LHADDAS」を開発- - 福島の森林樹木の放射性セシウム汚染は今後どうなるか?
-新開発の計算モデル「SOLVEG-R」で汚染メカニズムを解明し将来予測を可能に- - 原子力事故による海洋汚染を迅速に予測するシステム「STEAMER」を開発
-日本周辺海域の任意地点から放出された放射性物質の拡散挙動の計算が可能に- - 陸域に沈着した放射性セシウムは将来どう動くのか?
-陸域における放射性セシウムの1F事故後30年間の挙動を河川モデルで予測-
その他の関連研究については、メンバーのJOPSS・research mapからご確認ください。
放射性物質と安定同位体を
利用した環境中の物質循環
環境中の放射性同位体や安定同位体の分析技術を武器に、それらをトレーサーとして利用する独自のアプローチで物質循環の実態把握やメカニズムの解明、気候変動に対する応答の予測に取り組んでいます。森林・農地から沿岸海洋までの幅広いフィールドを対象に、実環境での観測はもちろん、環境変化を模擬した室内実験も駆使して得た新たな知見をもとに、人間活動により放出された物質が環境に与える影響の評価を目指しています。
放射性炭素(14C)をトレーサーとして利用した森林・農地の炭素循環研究
- アジア原子力協力フォーラム(FNCA)気候変動科学プロジェクト
- アジア域の森林における土壌炭素動態の統括的観測に基づいた気候変動影響の将来予測
- デジタルバイオスフェア:地球環境を守るための総合生物圏科学(科研費・学術変革領域[A])
[A01] 炭素貯留を最大にする最適な森林の予測 - 熱帯泥炭林のオイルパーム農園への転換・拡大が炭素蓄積・循環に与える影響の評価
- 深層土壌における炭素の隔離・循環機能の解明
- 森林・農地における土壌炭素貯留能を規定するメカニズムの解明と適切な管理技術の開発
- 土壌中の鉱物と有機物の相互作用による炭素貯留機能の解明
人工・天然放射性同位体をトレーサーとした海水循環構造と物質循環の解明
- 放射性同位体を利用した沿岸堆積物の炭素貯留能評価
- 放射性炭素を用いた淡水生態系における食物網解析
原子力施設から放出される放射性核種の環境動態
- 環境試料中ヨウ素129の高感度分析方法の開発
- 海・陸水中の安定・放射性ヨウ素の動態
その他の関連研究については、メンバーのJOPSS・research mapからご確認ください。
東京電力福島第一原子力
発電所事故
私たちはこれまでに、東京電力福島第一原子力発電所事故に放出された放射性物質についての調査・研究を行ってきました。事故直後に放射性物質はどのようにして環境中に広がったのか。そして、それら放射性物質は今後どうなっていくのか。こうした疑問に答えるために、森林や海洋・河川における調査や室内実験、そしてコンピューターシミュレーションから、事故由来の放射性物質の現状の把握や動態の予測に取り組んできました。
- 茨城県北部沿岸における海底の継続調査で明らかに
-海底堆積物中の放射性セシウム濃度の変動要因- - 森林表土における移動性セシウムの保持機構を探る
-土壌微生物と非生物成分による保持量の評価- - 海水中における放射性ヨウ素の動きを探る
-東京電力福島第一原子力発電所事故前後におけるヨウ素129濃度の変動- - 太平洋上の環境負荷物質を追跡する
-東日本大震災により流出した震災漂流物の予測シミュレーション- - 地形による放射性セシウムの沈着量の違いを探る
-森林集水域における空間線量率分布の詳細調査- - 放射性セシウムは森林表層にどのくらい留まるのか?
-落葉層から土壌への放射性セシウムの移行を植生の違う森林で評価- - 海洋深層への放射性物質の移行を探求する
-鉛直方向の濃度分布から深層への沈み込みを解明- - 放射性物質の大気放出と拡散状況を計算で再現する
-拡散計算の最適化手法の高度化により事故初期の正確な被ばく評価に貢献-
その他の関連研究については、メンバーのJOPSS・researchmapからご確認ください。
からご確認ください
メンバー
川村 英之
Hideyuki Kawamura専門分野
海洋環境シミュレーション、海洋学
学位
博士(理学)
寺田 宏明
Hiroaki Terada専門分野
大気拡散シミュレーション、気象学
学位
博士(工学)
安藤 麻里子
Mariko Andoh鈴木 崇史
Takashi Suzuki専門分野
海洋調査、ヨウ素129、加速器質量分析
学位
博士(理学)
担当分野
- 原子力施設から放出された海水中ヨウ素129濃度の変動要因解明
- 放射性ヨウ素の全球規模及び沿岸海洋環境での移行解明
- 環境試料中ヨウ素129の高感度分析方法の開発
中西 貴宏
Takahiro Nakanishi専門分野
地球化学、環境放射能、海洋学
学位
博士(地球環境科学)
担当分野
- 放射性物質と安定同位体を利用した環境中物質挙動研究
- 福島第一原子力発電所事故起源の放射性核種の環境動態に関する研究
中山 浩成
Hiromasa Nakayama専門分野
局所域大気拡散シミュレーション
学位
博士(工学)
担当分野
- 局所域高分解能大気拡散・線量評価システムの開発
- 放射線テロ対策シミュレーション
太田 雅和
Masakazu Ota専門分野
陸面物質移行
学位
博士(工学)
担当分野
- 陸面移行モデルの開発
- トリチウム、炭素14、放射性ヨウ素、放射性セシウム等の大気-植生-土壌間移行シミュレーション
- 陸面(森林等)炭素循環研究
門脇 正尚
Masanao Kadowaki専門分野
大気拡散モデリング、大気化学
学位
博士(理学)
担当分野
- 化学輸送モデルを用いた環境中の放射性ヨウ素循環の解明
- マルチスケール大気拡散モデルの開発
池之上 翼
Tsubasa Ikenoue専門分野
環境工学、水文学、環境動態シミュレーション
学位
博士(工学)
担当分野
- 陸域及び河川における放射性セシウムの東京電力福島第一原子力発電所事故後30年間の挙動予測
- 河川を通じた放射性セシウムの供給が福島沿岸海域における海底堆積物中の放射性セシウムの挙動へ及ぼす影響の評価
孫 榕蔚
Rongwei Sun専門分野
環境科学、無機化学
学位
博士(工学)
担当分野
- 土壌中の鉱物と有機物の相互作用による炭素貯留機能の解明
佐藤 拓人
Takuto Sato専門分野
大気乱流、都市気象、LESモデル
学位
博士(理学)
担当分野
- LES局所域大気乱流拡散モデルの開発
- 原子力緊急時等の即時対応に向けた局所域詳細大気拡散評価フレームワークの構築
谷森 達
Toru Tanimori専門分野
γ線天文学、高エネルギー物理学
学位
理学博士
担当分野
- 3次元線量拡散予測法の確立とγ線透過率差を利用した構造体内調査法の開発
須田 啓明
Hiroaki Suda担当分野
- 環境試料分析
清水 睦朱
Mutsumi Shimizu担当分野
- 環境試料分析
神長 美鈴
Misuzu Kaminaga担当分野
- 環境試料分析
吉垣 紀久子
Kikuko Yoshigaki担当分野
- 環境試料分析
牛山 法子
Noriko Ushiyama小嵐 淳
Jun Koarashi専門分野
同位体生物地球化学、放射生態学
学位
博士(工学)
担当分野
- 陸域生態系における炭素循環と気候変動への影響の解明
- 放射性核種の環境中における動態の解明
アクセス・
お問い合わせ
国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構
原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター
環境動態研究グループ
〒319-1195
茨城県那珂郡東海村大字白方2番地4
Tel:029-282-5100(案内台)