グループの研究内容
グループの研究内容
  • 新しい線量評価手法の理論計算・モデルによる研究

  • CT診断における患者線量の評価法に関する研究

  • 担当:佐藤 薫、高橋 史明

     我が国におけるCT診断の人口当たりの検査数、装置台数は世界的に見ても、最大の規模となっております。そこで、CT診断における患者の線量を最適化し、国全体での線量を把握するため、大分県立看護科学大学、放射線医学総合研究所(放医研)等との共同研究により線量評価システムWAZA-ARIの開発を進めています。

     当グループでは、CT診断における患者の線量を正確に計算で解析するためのモデルを開発しております[1]。X線管から扇状の光子放出は、CT装置における成形フィルタ(Bow-tieフィルタ)での光子減弱を考慮して、これを模擬する線源モデルを粒子・重イオン輸送計算コードPHITSにより構築しました(図1)。そして、成人日本人の平均的な体型及び臓器質量を持つJM-103(男性)、JF-103(女性)ファントム[2](図2)及び4才児ファントムをPHITSに組み込み、臓器線量解析を行いました。その結果に基づき線量データベースを整備し、これを用いてCT撮影による被ばく線量を計算するwebシステムWAZA-ARIを開発しました。このWAZA-ARIは、平成24年12月より放医研のホームページ[4]に公開し、試験運用を開始しました。

     その後、WAZA-ARIの機能を拡張して、異なる体型の成人の線量を評価するため、JM-103及びJF-103ファントムを修正することによって、小柄、大柄、特大の体型を持つ成人日本人ファントム(図2)を開発し、これを用いて臓器線量を解析しました。加えて、様々な年齢の未成年の線量も評価するため、フロリダ大学が開発する0、1、5、10、15才の小児男女ファントム [5、6]もPHITSに組み込みました。

     これらのファントムを用いた線量解析に基づき、CT撮影による線量を評価するための臓器線量データベースを新たに整備し、これを格納したwebシステムWAZA-ARIv2 [7]を開発しました。このWAZA-ARIv2は、平成27年1月より放医研のホームページ[7]で公開されており、医療機関等はユーザー登録をすることで利用することが可能です。また、利用者はCT撮影条件や線量計算結果をWAZA-ARIv2サーバーにアップロードすることが可能で、自身や他の医療機関における被ばく線量分布データを比較することもできます。


    図1: PHITSを用いたCT装置から放出されるX線の挙動解析。


    図2: 線量解析に用いた成人日本人ファントム。


    文献)
    [1] F. Takahashi, A. Endo, K. Sato, T. Hasegawa, Y. Katsunuma, K. Ono, T, Yoshitake, M. Ban and M. Kai,
    Analysis of organ doses from computed tomography (CT) examination by the radiation transport calculation to develop the dosimetry system, WAZA-ARI,
    Prog. in Nucl. Sci. Technol. 1, 517-520 (2011).
    [2] K. Sato, F. Takahashi, D. Satoh and A. Endo,
    Construction of average adult Japanese voxel phantoms for dose assessment,
    JAEA-Data/Code 2011-013 (2011).
    [3]C. Lee, C. Lee, J. L. Williams and W. E. Bolch,
    Whole-body voxel phantoms of paediatric patients-UF Series B,
    Phys. Med. Biol. 51, 4649-4661 (2006).
    [4] 放射線医学総合研究所 WAZA-ARIホームページ: http://waza-ari.nirs.go.jp/waza_ari/
    [5] C. Lee, D. Lodwick, D Hasenauer, J. L. Williams, C. Lee, W. E. Bolch.,
    Hybrid computational phantom of the male and female newborn patient: NURBS-based whole-body models,
    Phys. Med. Biol., 52, 3309-3333 (2007).
    [6] C. Lee, D. Lodwick, J Hurtado, D. Pafundi, J. L. Williams and W. E. Bolch.,
    The UF of reference hybrid phantoms for computational radiation dosimetry,
    Phys. Med. Biol., 55, 339-363 (2010).
    [7] 放射線医学総合研究所 WAZA-ARIv2ホームページ: http://waza-ari.nirs.go.jp/waza_ari_v2_1/


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