2016.09.29
2016年日本放射化学会賞・奨励賞を受賞

放射化学研究グループの金子政志博士研究員が、「メスバウアー分光パラメータと密度汎関数法を用いたd, fブロック錯体の結合状態研究」で、平成28年9月11日に2016年日本放射化学会賞・奨励賞を受賞しました。

金子政志

受賞対象となった研究は、分離変換技術において重要であるマイナーアクチノイド(MA) やランタノイド(Ln)において、それらを含む金属錯体中の結合状態を精確に評価するために実験データを利用して化学結合状態を計算する方法を最適化し、それを用いて化学結合特性を評価したものです。分離変換技術では、MAおよびLnと分離試薬との間の化学結合を精度よく理論計算し、結合状態の違いを明らかにすることで分離能力の高い新たな試薬開発につなげることができます。金属錯体中の化学結合を表す電子状態を理論的に予測する優れた方法として密度汎関数法がありますが、MA, Lnのようなfブロック元素に対しては、結合の評価手法が確立されていませんでした。そこで、結合状態を敏感に反映するメスバウアー分光パラメータを実験データとして用いて密度汎関数を最適化し、MA, Ln錯体の化学結合特性を精度よく評価できることを見出しました。この方法をMA/Ln分離挙動に適用したところ、MAとLnの分離試薬との間の共有結合性の違いが、MA/Ln分離挙動の一因になっていることを明らかにしました。


2016.07.15
平成28年度腐食防食学会岡本剛記念講演賞を受賞

山本正弘副センター長が、腐食防食の分野への顕著な功績により、平成28年5月26日に平成28年度腐食防食学会岡本剛記念講演賞を受賞し、「材料と環境2016」にて「複雑な実環境をシミュレートしたデータ取得にもとづく腐食要因の解明ー海洋環境と原子力施設を例としてー」と題する記念講演を行いました。

山本正弘

受賞対象となった功績は、海洋構造物の海水による腐食機構解明とその防止対策の研究、軽水炉用構造材料の高温高圧水中での腐食機構に関する研究、核燃料再処理施設用材料の硝酸環境中腐食機構に関する研究などの成果です。腐食防食の分野における学術の進歩発展に顕著への功績から、腐食防食学会員の知識と興味を高める権威ある講演を行う講師に選出されました。


2016.07.15
平成28年度腐食防食学会論文賞を受賞

防食材料技術開発グループの小松篤史研究員、廃炉国際共同研究センター保管機器健全性評価グループの本岡隆文サブリーダー(防食材料技術開発グループ兼務)、燃料・材料工学ディビジョンの上野文義研究主席、原子力基礎工学研究センターの山本正弘副センター長が、「沸騰硝酸中における310ステンレス鋼の粒界腐食に及ぼすリンの局所偏析の影響」(材料と環境, Vol.63, No.3, pp98-103 (2014))で、平成28年5月26日に平成28年度腐食防食学会論文賞を受賞しました。

山本正弘、本岡隆文、小松篤史、
上野文義、牧野政((株)アセンド)

受賞対象の論文は、沸騰硝酸溶液中においてステンレス鋼の結晶粒界が腐食される現象について、粒界に分布する微量のリンの影響を明らかにしたものです。従来は粒界の微量のリンを検出が極めて困難でしたが、本論文では、電位と電気量を制御して粒界をごくわずかに腐食させる技術と、ミクロな試料加工と原子レベルでの元素分析の技術を用いて、腐食が進む粒界にはリンが濃縮していることを明らかにしました。


2016.07.15
平成28年度腐食防食学会技術賞を受賞

防食材料技術開発グループの加藤千明研究主幹が、「高温水中における応力腐食割れ発生試験方法の規格化ならびに規格改正」の成果に対して、平成28年5月26日に平成28年度腐食防食学会技術賞を受賞しました。

加藤千明

本受賞は、腐食防食学会の委員会の委員として、軽水炉内の環境を模擬した高温水中で応力腐食割れの発生を調べるための試験方法に関する腐食防食学会規格の策定に貢献したことに対して授与されました。高温高純水環境での単軸引張荷重負荷試験については、これまで各試験機関で統一された試験方法がありませんでしたが、様々な種類の試験装置を包括するとともに、試験環境、試験手順などの試験方法をまとめて、腐食防食学会規格(JSCE S1501 :2015「高温高純度水環境における単軸引張定荷重負荷(UCL)を用いた金属及び合金の応力腐食割れ試験方法」)として規定しました。さらに、腐食防食学会が原案を提案した逆U曲げ試験方法のJIS規格(JIS G0511「金属及び合金の逆U曲げ試験片を用いた応力腐食割れ試験方法」)も併せて改正しました。高温高圧水中での応力腐食割れの発生の試験方法の技術的な指針として、活用されることが期待されます。


2016.07.15
平成28年度腐食防食学会進歩賞を受賞

防食材料技術開発グループの小松篤史研究員が、「電気化学的手法を用いた原子力材料の腐食機構に関する研究」で、平成28年5月26日に平成28年度腐食防食学会進歩賞を受賞しました。

小松篤史

本受賞は、腐食の電気化学に関する知識を駆使して、沸騰純硝酸中でのチタンの腐食機構の解明や、ステンレス鋼の結晶粒界の腐食と粒界におけるリンの濃縮との関係の解明などの成果を上げたことに対して授与されました。特に、一般に優れた耐食性を有するチタンが沸騰純硝酸中では腐食を生じる原因について研究し、チタンの酸化皮膜の酸化還元反応が硝酸の還元反応に関与することを見出し、これが主な機構であることを明らかにしました。


2016.05.18
平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞を受賞

原田秀郎ディビジョン長、木村敦研究副主幹、藤暢輔研究主幹が、「中性子共鳴分光法の大幅な革新とその応用研究」の業績により、平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞(研究部門)を平成28年4月20日に受賞しました。

木村敦、原田秀郎、藤暢輔

業績概要:ここをクリック。


2016.05.18
第48回日本原子力学会賞論文賞を受賞

環境動態研究グループの松永武嘱託(International Science & Technology Center出向中)、都築克紀技術副主幹、環境化学研究グループの柳瀬信之嘱託が、「Increase in rare earth element concentrations controlled by dissolved organic matter in river water during rainfall events in a temperate, small forested catchment」(J. Nucl. Sci. Technol., Vol.52, 514-529 (2015))で、平成28年3月27日に第48回日本原子力学会賞論文賞を受賞しました。

松永武、都築克紀、柳瀬信之

受賞対象の論文は、超ウラン元素(TRU)と化学的に類似する希土類元素を活用することで、自然環境でのTRUの移行機構研究を実現したものです。一般に大気圏内核実験等に起因した地表面に存在するプルトニウム等のTRUは極めて低濃度であり移行研究に利用することが困難ですが、本論文ではその対処手法を提示しました。土壌水中の希土類元素の多くは溶存有機物と結びついていて、河川が増水すると、その一部は土壌から河川に水とともに移動する機構を、細かな時間ステップによる降雨時観測から導きました。これにより、土壌中に広く分布する自然有機物(腐植物質)がTRUの動態に深く関わっていることを示しました。


2016.05.18
第48回日本原子力学会賞奨励賞を受賞

放射線挙動解析研究グループの安部晋一郎 博士研究員は、「放射線により生じる電子機器の誤動作現象に関するシミュレーション技術の高度化」で、平成28年3月27日に第48回日本原子力学会賞奨励賞を受賞しました。

安部晋一郎

受賞対象の研究は、放射線照射により電子機器に生じる一時的な誤動作現象(ソフトエラー)の発生率(SER)を評価するための計算モデルを開発したものです。SER評価では放射線が電子機器内で引き起こす核反応過程と電荷収集過程を記述するモデルの高精度化と計算の高速化が重要となります。本研究では、粒子輸送計算コードPHITSによる核反応計算の高速化を可能とするため、強制衝突法を用いたエネルギー付与量の計算アルゴリズムを構築しました。また、電荷収集量の計算に関して、付与電荷の位置に対する電荷収集効率の依存性を考慮できる多重有感領域(MSV)モデルを開発し、これとPHITSを組み合わせることにより、ソフトエラー解析モデルPHITS+MSVを確立しました。


2016.05.18
第48回日本原子力学会賞論文賞を受賞

核データ研究グループの柴田恵一特別嘱託は、「Evaluation of Neutron Nuclear Data on Iodine Isotopes」 (J. Nucl. Sci. Technol., Vol. 52, 1174-1185 (2015))により、平成28年3月27日に第48回日本原子力学会賞・論文賞を受賞しました。

柴田恵一

日本原子力研究開発機構(JAEA)が2010年に公開した評価済み核データライブラリJENDL-4.0(406核種収納)では、諸事情により約50核種の核分裂生成物(FP)核種のデータに関して十分な吟味が行われていませんでした。そこで、受賞者は次期JENDLを見据えてFP核種を中心に精力的に核データ評価を行い、その結果を論文発表してきました。今回受賞対象の論文では、入射中性子エネルギー10^-5 eV - 20 MeVで新たに評価されたヨウ素-127, 128, 129, 130, 131, 135の中性子断面積の詳細が纏められています。共鳴領域以上の所謂高速中性子のエネルギー領域では、JAEAで開発した核反応モデルコードと最適化されたモデルパラメータを用いて核データを評価しました。その結果はヨウ素-127, 129の既存の測定値を良く再現しており、JENDL-4.0及び欧米の評価値を上回るものでした。精密な核反応モデルと最適化されたモデルパラメータを用いることにより、測定値の殆ど無いヨウ素-128, 130, 131, 135データの信頼性向上にも繋がりました。得られたデータは次期JENDLに収納され、原子力の研究開発を始めとする色々な分野での利用が期待されています。
eprint: http://www.tandfonline.com/eprint/KBrWnz3y63DzkvI5RGdU/full


2016.05.18

核データ研究グループの岩本修グループリーダ等がJNSTへ投稿した論文「JENDL Actinoid File 2008」(2009年46巻510-528ページ掲載)が、出版後約5年間で多数の引用がなされたことから、2015年度最多引用論文賞を受賞した。

岩本修

この論文は、2008年に公開した評価済核データファイル“JENDLアクチノイドファイル2008”についての記述したものである。このファイルは、新しく開発した原子核反応モデルコードCCONEや最新の実験データに基づき、アクチノイド79核種に対する中性子反応核データを大幅に改訂したものであり、原子炉のシミュレーション精度向上に資することが期待される。このファイルの大部分は2010年に公開された最新の汎用ファイルJENDL-4.0へ採用されている。
データは次のURLからダウンロード可能である。
http://wwwndc.jaea.go.jp/ftpnd/jendl/jendl-ac-2008.html


2016.05.18
第48回日本原子力学会賞技術開発賞を受賞

原子力基礎工学研究センター(NSEC)、欧州委員会共同研究センター標準物質・計測研究所(EC-JRC-IRMM)、核不拡散・核セキュリティー総合支援センター(ISCN)から成る国際共同研究プロジェクトチーム(中性子共鳴濃度分析法(NRD)合同開発チーム)は、「複雑な組成・形状の核燃料を計量管理する中性子共鳴濃度分析法の開発」により、平成28年3月27日に第48回日本原子力学会・技術開発賞を受賞しました。写真は、プロジェクトチームの各組織を代表して表彰盾を受け取った、原田秀郎ディビジョン長(NSEC)、P. Schillebeeckx博士(EC-JRC-IRMM)、小泉光生研究主幹(ISCN)。詳細は、ここをクリック

小泉光生、Peter Schillebeeckx、原田秀郎


2015.06.09
第47回日本原子力学会賞技術賞を受賞

環境化学研究グループの永野哲志研究主幹、長縄弘親研究主席、人形峠環境技術センターの美田豊技術副主幹は、「エマルションフロー法による除染廃液浄化技術の開発」により、平成27年3月21日に第47回日本原子力学会・技術賞を受賞しました。

長縄弘親、永野哲志、美田豊

受賞者らは、簡便・安全・低コストと迅速・高効率が両立した新しい液-液抽出の方法“エマルションフロー法”を利用して、ウランを含んだ多量の放射性廃液から高選択的にウランを除去する技術を開発しました。この方法では、従来のミキサーセトラー法などを用いる液-液抽出やイオン交換樹脂などを用いる方法の10倍以上の迅速さで、かつ5分の1以下の低コストで、除染廃液中のウランを排水基準値以下の濃度にまで浄化できます。また、装置本体に駆動部を持たないので、トラブル発生が少なく、より安全性の高い方法です。エマルションフロー法は、国内の放射性廃液の処理等に広く役立つと期待できます。また、原子力分野以外にも、廃液・廃棄物からのレアメタル回収などで注目を集めています。


2015.04.23
平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞を受賞

茅野政道企画調整室長、永井晴康研究主席、寺田宏明研究副主幹、堅田元喜研究員が、「緊急時環境線量情報予測システムWSPEEDIの開発」の業績により、平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞しました。

寺田宏明、茅野政道、永井晴康、堅田元喜

エネルギー需要の増大等を背景に、世界的に原子力施設が増加しつつある状況において、放射性物質の大量放出を伴う事故時の対策には、放射性物質の飛来予測が重要な情報となります。そこで、世界の任意地点での原子力事故に対して大気拡散・地表沈着・被ばく線量を詳細かつ迅速に予測できるシステムを、精緻な拡散・沈着プロセスを考慮した予測計算モデルと先進的な計算支援機能に基づいて開発し、野外実験や事故データによりその性能を実証しました。本開発によって、福島第一原発事故ではいち早く放射性物質の大気放出量や拡散状況を解析でき、その結果は国内のみならず、世界保健機関(WHO)や国連科学委員会(UNSCEAR)でも、影響評価に活用されました。また、北朝鮮核実験時には、国内関係機関への放射性物質の拡散予測情報の提供に利用されました。このように本システムは、実用としての完成度は高いといえます。得られる成果は、国内外の原子力事故に対し、国や自治体が行うモニタリング計画や国民の安全確保に必要な情報を提供することで、対策に寄与するものです。また、高い予測性能は、環境負荷物質のリアルタイム広域大気拡散予測のような非原子力分野のニーズにも寄与しています。


2015.04.23
第47回日本原子力学会賞論文賞を受賞

環境動態研究グループの寺田宏明研究副主幹、永井晴康研究主席、名古屋大学の山澤弘実教授が、「Validation of a Lagrangian atmospheric dispersion model against middle-range scale measurements of 85Kr concentration in Japan」(J. Nucl. Sci. Technol., Vol.50, 1198-1212 (2013))で、平成27年3月21日に第47回日本原子力学会賞論文賞を受賞しました。

山澤弘実、寺田宏明、永井晴康

受賞対象の論文は、水平距離で数100km程度の中距離スケールにおける大気拡散モデルの性能評価に関するものです。これまで、このスケールにおけるモデルの性能検証は、利用可能なデータがなかったため十分に行われていませんでした。本研究では、六ヶ所再処理施設を起源とする85Krの大気拡散に着目し、国内数地点における大気中85Kr濃度の測定値を用いて中距離スケールでのラグランジュ型粒子拡散モデルの性能評価を行うとともに、格子解像度に応じた合理的な水平拡散係数を求める方法を提案しました。


2015.04.23
日本原子力学会英文論文誌(JNST)2014年度最多ダウンロード数論文賞を受賞

環境動態研究グループの小林卓也研究主幹が、日本原子力学会英文誌(JNST)に投稿した論文「Source term estimation of atmospheric release due to the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident by atmospheric and oceanic dispersion simulations」(J. Nucl. Sci. Technol., Vol.50, 255-264 (2013))が、平成27年3月21日にJNST2014年度最多ダウンロード数論文賞を受賞しました。

小林卓也

本論文は、既往の研究によって推定された福島第一原子力発電所事故の大気放出量推定結果(I-131, Cs-137)の検証と、大気・海洋拡散シミュレーションと北太平洋海域における表層Cs-134濃度の観測値を用いた大気放出量の再推定に関するものです。その内容は次の通りです。Cs-134とCs-137の放出率が同一であると仮定し、既往の大気放出量推定結果を用いて表層海水中Cs-134濃度を計算し、観測値と比較したところ、観測値に対して計算値が過小に評価する海域が北東太平洋で確認されました。そこで、放出期間を細かく分割し、それぞれの期間における大気放出量推定値を用いた大気・海洋拡散シミュレーションを実行し、各海洋観測点における表層海水中Cs-134濃度に対する分割した期間ごとの寄与率を計算しました。そして、観測値と計算値が一致するように、寄与率を基に各期間の大気放出量を調節しました。その結果、過去の推定値よりも大きい大気放出量になることが推定されました。


2015.04.23
日本原子力学会英文論文誌(JNST)2014年度最多ダウンロード数論文賞を受賞

放射線挙動解析研究グループの佐藤達彦研究主幹らが日本原子力学会英文誌(JNST)に投稿した論文「Particle and Heavy Ion Transport Code System PHITS, Version 2.52」(J. Nucl. Sci. Technol., Vol.50, 913-923 (2013))が、平成27年3月21日にJNST2014年度最多ダウンロード数論文賞を受賞しました。

PHITSとは,原子力機構、高度情報科学技術機構、高エネルギー加速器研究機構などと共同で開発を進めているモンテカルロ計算コードです。このコードは、広範なエネルギーの様々な粒子の放射線挙動について、核反応モデルや核データなどを用いて取り扱うことができます。受賞した論文では,2013年にリリースしたPHITS version 2.52の新機能などに関して詳しく紹介しています。PHITS2.52は、以前にリリースされたPHITS2.24から、コードのみならず、付帯するデータライブラリのようなパッケージについても改良してきました。これらの改良により、PHITSは放射線施設の設計,医学物理計算,放射線防護研究,宇宙線・地球惑星科学など,工学,医学,理学の様々な分野での粒子輸送シミュレーションに適用可能な強力なツールとなりました。