日本原子力研究開発機構    原子力基礎工学研究センター    MA燃料サイクル技術開発グループ

Profile

[研究の概要]

 分離変換技術は、発電用原子炉使用済燃料の再処理工程で発生する高レベル放射性廃棄物中の元素を、利用目的に応じて分離し、そのうち放射性毒性が強く半減期の長い核種を短寿命核種あるいは安定核種に核変換する技術です。本技術による放射性廃棄物の減容化・有害度低減は、放射性廃棄物地層処分の負担軽減に寄与することが期待されています。

 原子力科学研究部門では、放射性毒性が強く半減期が長いネプツニウム(Np)、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)等のマイナーアクチノイド(MA: Minor Actinide)元素を、専用のシステムであるADS(加速器駆動システム:Accelerator-Driven System)を用いて核変換する技術の研究開発を行っています。

 ADSを用いるMA元素の核変換は、加速器で加速した陽子ビームを金属ターゲットに衝突させた際に発生する中性子を、MA元素を含んだ未臨界炉心に連続的に供給し、炉心内での核分裂連鎖反応を持続することによって行います。

 炉心には、発電用原子炉燃料と同様に、燃料ペレットと金属製被覆管からなる燃料ピンを束ねた燃料集合体が配置されます。MA元素を含む燃料ペレットは、MAの核変換に適した元素組成・化学形の選択が必要であり、ウランを含まないMA窒化物燃料が第一候補として選定されています。

 これまでの核変換システムに関する検討によると、ADS用MA核変換燃料の約2年間の使用期間中に核変換できるのは燃料中のMA元素の約20%です。より多くのMA元素を核変換するためには、使用済MA核変換燃料中に残ったMA元素を分離回収し、再び燃料として使用することが必要です。つまり、「MA核変換専用燃料サイクル」において、燃料の製造、核変換、使用済燃料の再処理・再加工を繰り返し行う必要があります(図1)。

 MA燃料サイクル技術開発グループでは、「MA核変換専用燃料サイクル技術」の確立に向け、MA核変換用燃料の再処理・再加工技術に関する研究開発を行っています。現在は、MA窒化物燃料の処理に適している、溶融塩や液体金属を溶媒として用いる乾式再処理・再加工(図2)に関する研究を中心に進めています。

加速器による放射性廃棄物低減に向けた研究開発
- 分離変換技術の現状と展望 -

日本原子力学会再処理・リサイクル部会
テキスト「核燃料サイクル」
8-3 ADS燃料サイクル

ADSを用いるMA核変換燃料サイクルの概略
図1 ADSを用いるMA核変換燃料サイクルの概略

 MA核変換用窒化物燃料の乾式再処理プロセスの概略
図2 MA核変換用窒化物燃料の乾式再処理プロセスの概略

[最近のトピックス]

• 液体陰極に回収したプルトニウムの再窒化技術開発

• 腐食性ガスを使用しないマイナーアクチニド塩化物合成法を開発

• 電気化学的な手法を用いた金属間化合物の物性測定

• ミリグラム規模の高純度キュリウム試料の分離精製回収に成功

Publication

発表論文、国際会議発表等


-2015-

H. Hayashi, M. Akabori, K. Minato
Electrochemical behavior of americium in NaCl-2CsCl melt
5th Asia-Pacific Symposium on Radiochemistry (APSORC '13)
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303 (2015) 1331-1334.
T. Sato, H. Shibata, H. Hayashi, M. Takano, M. Kurata
Chlorination of UO2 and (U, Zr)O2 solid solution using MoCl5
J. Nucl. Sci. Technol., 52 (10), 1253-1258 (2015).
H. Shibata, H. Hayashi, T. Koyama
Evaluation of apparent standard potentials of curium in LiCl-KCl eutectic melt
電気化学及び工業物理化学 (Electrochemistry), 83(7), 532 - 536 (2015)
K. Tsujimoto, T. Sasa, F. Maekawa, T. Matsumura, H. Hayashi, M. Kurata, Y. Morita, H. Oigawa
Current Status and Future Plan of Research and Development on Partitioning and Transmutation based on Double-Strata Concept in JAEA
GLOBAL 2015 - 21st international conference on nuclear fuel cycle for a low-carbon future
Proceedings of Global 2015, 657 -663 (2015)
T. Sato, H. Hayashi, T. Nishi, M. Kurata
An innovative anode concept for improving anodic dissolution rate of nitride fuel in electrorefining process
GLOBAL 2015 - 21st international conference on nuclear fuel cycle for a low-carbon future
Proceedings of Global 2015, 1234 -1239 (2015).
H. Hayashi, T. Nishi, M. Takano, T. Sato, H. Shibata, M. Kurata
Development of nitride fuel cycle technology for transmutation of minor actinides
GLOBAL 2015 - 21st international conference on nuclear fuel cycle for a low-carbon future
Proceedings of Global 2015, 1811 - 1817 (2015).
H. Hayashi, T. Nishi, M. Takano, T. Sato, H. Shibata, M. Kurata
Recent progress and future R&D plan of nitride fuel cycle technology for transmutation of minor actinides
13th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation
Proceedings of 13th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation, 370-377 (2015).

-2014年以前-

燃料高温科学研究グループ群分離技術開発グループの研究成果等をご参照ください。

Cooperation

共同研究


受託研究

Member


グループリーダー

森田 泰治
MORITA Yasuji

サブリーダー

林 博和
HAYASHI Hirokazu

職員

津幡 靖宏
TSUBATA Yasuhiro

佐藤 匠
SATO Takumi

兼務

松村 達郎
MATSUMURA Tatsuro

音部 治幹
OTOBE Haruyoshi

柴田 裕樹
SHIBATA Hiroki

Contact Infomation

国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構
原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター
分離変換技術開発ディビジョン MA燃料サイクル技術開発グループ

茨城県那珂郡東海村大字白方2番地4
JR常磐線東海駅下車、タクシーで約10分、バスで約15分

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