日本原子力研究開発機構   原子力基礎工学研究センター


核工学・炉工学ディビジョンの取り組み
 

原子力は、長期にわたるエネルギーの安定供給に寄与する重要なベースロード電源として、また、二酸化炭素排出削減による地球温暖化対策へ貢献する有力な手段として期待されています。特にアジアを中心とする原子力利用の国際的な拡大が見込まれており、我が国は、原子力利用先進国として海外における原子力利用にも国際貢献することが期待されています。原子力の利用にあたっては、原子炉の信頼性・効率性を高める技術や放射性廃棄物の有害度を低減する技術などを開発していくことが重要です。我々は、これらの技術開発を支えるため、原子力技術の基礎となる核データの充実と高品質化、核燃料を有する施設における臨界量等の核的特性を計算可能とするコードの体系化と高度化、核物質や放射性廃棄物等を高精度で計測可能とする核計測技術の開発に取り組んでいます。
核工学・炉工学ディビジョンは、これらの研究開発を進めるに当たり、国際協力を積極的に行うとともに、国、大学、産業界と連携して様々なニーズに応えます。また、国内外の研究者・技術者の養成にも貢献します。これらの研究活動を通じ、核工学・炉工学について世界をリードする中核的研究組織として社会に貢献することを目指しています。


核データの研究(核データ研究グループ
核データとは原子核と中性子との反応の起こり易さや原子核の崩壊の在り方についての基本的な情報であり、原子力の技術開発や放射線の影響評価を行う上で欠かせないものです。私たちは核データを高精度に測定する技術の開発や理論的に予測するための研究に取り組んでおり、これらの成果をもとに核データの最も確からしい値を評価しています。これらの評価値をデータベースとして利用しやすい形にまとめ、国内外に提供しています。

原子炉物理の研究 (炉物理標準コード研究グループ
原子炉がどのような条件で臨界となるかや、原子炉内の核反応を引き起こす中性子の振る舞い(これらを核的特性と言います)を精度よく予測するためには、核データを使用したコンピュータシミュレーションが必要となります。我々は、原子力エネルギーの研究・開発を支える、核的特性のコンピュータシミュレーション技術の開発に取り組んでいます。

原子力センシングの研究 (原子力センシング研究グループ
多様化・複雑化する高線量核物質等の高精度分析を実現するために、核物質から放出される中性子やガンマ線等、または中性子を入射させて核物質との核反応によって放出される中性子やガンマ線等を計測し、それを解析・分析する高度センシング技術の開発に取り組むとともに、基礎科学への学際的貢献や産業界への利用展開を図っています。

(2015年7月1日記)