沸騰熱伝達実験
沸騰熱伝達機構の解明などの基礎研究に加えて、海水注入が炉内の熱伝達へ与えた影響の解明などのシビアアクシデント時の熱流動挙動についても評価しています。
実施内容: Contents
海水注入時の流動と沸騰挙動
東京電力福島第一原子力発電所(以下、1F)事故では、電源喪失等によって炉心冷却機能を失ったため、真水に代わり、比較的確保が容易であった海水が注入されました。
しかし、炉心への海水の注入は世界的にも例がなく、海水が炉心の冷却へ与える影響は十分に把握されていません。
海水は、その物性値が真水と異なるとともに、ミネラル等が多く含まれているため、結晶の析出による伝熱面表面状態の変化や流路閉塞の発生など、
冷却能力への悪影響が考えられます。私たちは、海水注入による冷却能力への影響の把握を目的として、
原子炉炉心を模擬した試験体や薄膜伝熱面を用いた実験を実施しており、
海水と真水における熱伝達や流動の違いや、伝熱面上に析出した海水塩析出物の影響について検討しています。
炉心模擬試験体における沸騰挙動と流速分布同時計測の一例
薄膜伝熱面における沸騰挙動と伝熱面温度分布同時計測の一例
伝熱面に析出した海水塩析出物の3次元計測の一例