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平成30年度軽金属論文新人賞を受賞

2018.11.22


大谷恭平

防食材料技術開発グループの大谷恭平研究員が、「グルコン酸や亜鉛イオンを含む模擬海水におけるA3003アルミニウム合金の腐食による形態変化とその機構」で、平成30年11月9日に平成30年度軽金属論文新人賞を受賞しました。

受賞対象の論文は、通常では防食性能の低いインヒビターであるグルコン酸に亜鉛イオンを添加することでアルミニウム合金に対する防食性能が飛躍的に向上する事を明らかにしました。本論文は、新たなインヒビターの開発等のアルミニウムの防食分野に貢献するものです。

2017年度機械工学科優秀教育推進賞を受賞

2018.11.21


大場恭子

原子力基礎工学センターの大場恭子技術副主幹は、非常勤講師を務めている芝浦工業大学工学部機械工学科にて担当している科目「技術者倫理」の講義に対して、学生並びに学科の教員から高く評価されたとして「2017年度機械工学科優秀教育推進賞」を受賞しました。

科目「技術者倫理」は、学生が社会に出た時に培った専門能力を適切に発揮できる倫理能力を身につけること、及び今後も学生が自主的かつ積極的に技術者倫理能力を磨くことに取り組んでいくことを目的にしている講義です。今回の受賞は、授業内容・授業方法に関して、受賞者が格別の工夫をしたことが学生並びに学科の教員から高く評価されたことによるものです。受賞者は、講義が学生にとってよい出発点となるように、単に技術者倫理を学ぶという「今」だけではなく、「今後」、自身が倫理の能力を備える必要性を実感するように、一方通行となってしまうレクチャーに加えて、グループディスカッション等、参加型、体験型を取り入れるようにしました。また、技術者倫理教育でよく取り上げられる失敗事例だけではなく、成功事例、良好事例も取り入れると同時に、一定の専門性を含めるようにしたことが評価されました。

第12回日本原子力学会 炉物理部会 部会賞 奨励賞を受賞

2018.09.19


方野量太

原子力基礎工学研究センター分離変換技術開発ディビジョン核変換システム開発グループの方野量太研究員は、「Reduced Order Modeling(ROM) に基づいた効率的な感度係数評価手法の開発」に対して、平成30年9月5日に、第12回日本原子力学会 炉物理部会 部会賞 奨励賞を受賞しました。

炉心解析は、温度フィードバックや燃焼を伴う複雑な現象を、数値シミュレーションを通じて予測し、原子炉の安全上・運転上重要な核特性を評価します。受賞者は、Reduced Order Modeling (ROM)という低次元化手法を用い、核特性の核反応断面積起因の不確かさ評価に用いられる感度係数を効率的に評価する手法を開発しました。開発手法は、核特性に対して「効く」核反応断面積の組み合わせを数学的に導出し、実効的な断面積数(次元数)を減らすことで、全体の計算コストを大幅に削減するものです。従来では評価が困難であった感度係数を実用的に評価することが可能であり、原子炉の安全性向上に資するものと期待されます。

平成29年度日本保健物理学会論文賞を受賞

2018.08.23


佐藤薫、髙橋史明

放射線挙動解析研究グループの佐藤薫研究副主幹、高橋史明研究主席が、日本保健物理学会誌に投稿した論文「体格の異なる成人日本人ボクセルファントムの構築と外部光子照射に対する臓器線量評価への適用」(保健物理、Vol 52, 247-258、2017)により、平成30年6月29日に平成29年度日本保健物理学会論文賞を受賞しました。

放射線防護を目的とした被ばく線量評価においては、国際放射線防護委員会(ICRP)が開発した成人標準ファントムを用いて計算した臓器の受ける線量(臓器線量)の標準データが利用されています。これらのファントムは、欧米人の平均的な体格特性に基づき構築されていますが、臓器線量は体格の影響により変化します。成人では欧米人よりも日本人は総じて小柄で、個々人の体格には変動幅があります。

そこで、本研究においては、成人日本人の身長、体格指数(BMI)等の統計データに基づき、体格の異なるファントムを定義する手法を開発しました。この手法により構築した数体のファントムを放射線輸送計算コードPHITSへ組み込んで、光子(γ線、X線)による外部被ばくに対する臓器線量を計算しました。この計算により、成人日本人の体格特性が臓器線量に及ぼす影響を定量的かつ系統的に明らかにすることができました。

第22回RADIOISOTOPES誌論文奨励賞を受賞

2018.07.31


金子政志

放射化学研究グループの金子政志研究員らが、日本アイソトープ協会英文誌に投稿した論文「Bonding Study on Trivalent Europium Complexes by Combining Mössbauer Isomer Shifts with Density Functional Calculations」(Radioisotopes, Vol.66, 289-300, 2017)が、平成30年7月5日に第22回RADIOISOTOPES誌論文奨励賞を受賞しました。

JAEAでは、高レベル放射性廃棄物の分離変換技術の開発に向けて、マイナーアクチノイド(MA)等の長寿命核種の分離技術の開発を行っています。受賞対象となった研究は、高レベル放射性廃棄物中に含まれるMAと希土類元素の分離性能を予測するための計算手法開発の一環として、希土類元素化合物の化学結合特性を密度汎関数計算によって明らかにしたものです。化合物中の化学結合は、その原子やイオン間の相互作用の性質により2種類に大別されます。1つは、プラスとマイナスの電荷が引き合って形成されるイオン結合で、もう1つは、電子軌道間の相互作用によって形成される共有結合です。これまで、希土類元素化合物に共有結合性があるかどうかは、よく理解されていませんでした。そこで、密度汎関数法によって得られる電子密度計算値と、共有結合の大きさを定量的に表す既報のメスバウアー分光パラメ―タ実験値を組み合わせて、希土類元素化合物の化学結合解析を行った結果、希土類元素のd軌道及びf軌道と呼ばれる電子軌道が、化合物中の共有結合に関与していることを明らかにしました。将来、この手法を用いてMA及び希土類元素の化合物の化学結合解析を行うことで、化学結合に基づいたMAと希土類元素の分離性能予測や分離試薬設計が可能になることが期待されます。

平成29年度第50回日本原子力学会賞特賞・技術賞を受賞

2018.05.01


多田健一、国枝賢

炉物理標準コード研究グループ多田健一研究員と核データ研究グループの国枝賢研究副主幹が、「純国産次世代核データ処理システムFRENDYの開発」により日本原子力学会賞 特賞・技術賞を受賞しました。

原子力研究開発機構では、評価済み核データライブラリJENDLや、MVP、PHITSなどの粒子輸送計算コードを整備しており、国内の大学やメーカーにおいて広く利用されています。それらの粒子輸送計算コードの実行においては、粒子輸送計算コードが読み込むことができる断面積ライブラリを評価済み核データから作成する「核データ処理」というプロセスが必要となります。我が国では長年このプロセスを外国産の核データ処理システムに頼ってきました。しかしながら、外国産の核データ処理システムにのみ頼ることで、JENDLを適切に処理できないことが多いことに加え、益々強化される輸出規制により、その利用において制限がかかることも強く懸念されてきました。こうした背景から、国産核データ処理システムを整備することは、核データ評価から核計算コード開発及び利用に至る一連の技術を我が国として自立的に行う上での最重要課題の一つと認識されています。

多田研究員と国枝研究副主幹はこれらの問題を解決することを目指したと同時に、核データ処理システムの将来にわたる保守性や評価済み核データの更新や核計算コードの高精度化に伴う拡張性を担保するために完全に国産化された核データ処理システムFRENDYを開発しました。今回開発したFRENDYにより、PHITSやMCNPなどの連続エネルギーモンテカルロ計算コード用の断面積ライブラリの作成が可能となりました。今後は近年の原子炉解析コードの多くが採用する多群輸送計算で必要となる多群エネルギー形式の断面積ライブラリや、評価済み核データの不確かさを表現する共分散データの処理機能も実装し、より汎用性を高める計画となっています。

受賞者らはFRENDYの開発過程で従来使用されてきた外国産の核データ処理システムの問題点を数多く発見・解決し、それらの問題点が輸送計算に影響を与えていたことを示しました。これらの成果によって、FRENDYは我が国だけでは無く、広く海外においても使用されることが期待されています。

第13回日本原子力学会 再処理・リサイクル部会 部会賞 業績賞を受賞

2018.04.26


松村達郎、辻本和文

原子力基礎工学研究センター分離変換技術開発ディビジョンの辻本和文ディビジョン長、群分離技術開発グループの松村達郎グループリーダー、MA燃料サイクル技術開発グループの佐藤匠研究副主幹が、「テキスト「核燃料サイクル」の出版」によって、平成30年3月28日に、第13回日本原子力学会 再処理・リサイクル部会 部会賞 功績賞を受賞しました。

受賞者は、テキスト「核燃料サイクル」の編集委員会及び執筆者の一員として、「第8章 分離変換」の「分離変換の意義」及び「ADS燃料サイクル」を執筆しました。このテキストは、“核燃料サイクル”の科学的、客観的な情報を、学会から社会に向けて発信するため、原子力学会 再処理・リサイクル部会内のワーキンググループを中心に執筆を進め、ウェブ上にて公開されています。

第50回日本原子力学会賞論文賞を受賞

2018.04.23


岩本信之、岩本修

核データ研究グループの岩本信之研究主幹と岩本修グループリーダーは、日本原子力学会英文論文誌に掲載された論文「Correction of the thermal neutron capture cross section of 241Am obtained by the Westcott convection, Journal of Nuclear Science and Technology, Vol.54, No.1, pp.74-80 (2017).」により、平成30年3月27日に、第50回日本原子力学会賞論文賞を受賞しました。

241Amの中性子捕獲断面積の精度向上は、マイナーアクチニドの核変換システム設計において重要な課題の一つとなっています。しかしながら、これまでに報告された241Amの熱捕獲断面積の測定値には不整合が存在し、問題となっていました。特に熱捕獲断面積を導出する手法の一つであるCd箔を用いた放射化実験では、他の手法と比較して断面積を過大評価する傾向がありました。本研究では、放射化実験による断面積導出で利用されてきたWestcott記法において、これまで考慮されなかったCd切断エネルギーより低いエネルギーに存在する共鳴の影響を定量化し、断面積導出にその影響を補正する手法を開発しました。この手法を既存の測定値へ適用することで、問題となっていた断面積の不整合を改善させることに成功しました。この成果を用いることにより、241Amのみならず、低エネルギー領域に共鳴のある他の核種に対する熱捕獲断面積の精度向上も期待されます。

第50回日本原子力学会賞技術賞を受賞

2018.04.23


古田琢哉、佐藤大樹、高橋史明

放射線挙動解析研究グループの佐藤大樹研究副主幹、古田琢哉研究副主幹、高橋史明研究主席が、「環境に分布する放射性セシウムによる公衆の外部被ばく線量推定手法の開発」の研究開発成果により、平成30年3月27日に第50回日本原子力学会賞技術賞を受賞しました。

受賞者らは、原子力機構が開発している放射線輸送計算コードPHITSを活用して大気と放射性セシウムが沈着した土壌で構成した半無限の環境中を伝播する光子の放射線場を高効率に計算する技術を確立し、放射性セシウムの放射能濃度から公衆を代表する各年齢の実効線量を推定できる換算係数を整備しました。また、被ばくの指標として定義されている実効線量と、モニタリングに利用される周辺線量当量及び個人線量当量との相関関係を解析し、モニタリング値に基づく公衆の被ばく線量推定の合理性を証明しました。さらに、建物の特徴に応じた屋内での線量低減を明らかにし、対象者の生活様式を反映した線量予測を可能にしました。これらの成果は、福島第一原子力発電所事故後の住民帰還に向けた中長期的な対策の検討に活用されています。

JNST Most Cited Article Award 2017を受賞

2018.04.23


古高和禎、岩本信之、岩本修
市原晃、柴田恵一、国枝賢

核データ研究グループの柴田恵一嘱託等が日本原子力学会英文論文誌(JNST)に投稿した論文「JENDL-4.0: A New Library for Nuclear Science and Engineering」(J. Nucl. Sci. Technol.,Vol.48, 1-30 (2011)が、出版後5年間で多数の引用がなされたことから、JNST Most Cited Article Award 2017を受賞しました。

この論文は平成23年度日本原子力学会賞 技術賞特賞を受賞した日本の評価済み核データライブラリJENDL-4.0の開発及びデータの特徴をまとめたものです。最新の実験データ及び信頼できる理論的知見を用いて、データ精度の向上に努めました。中性子入射核反応データに加えて、核分裂収率等のデータも完備しています。これらのデータはインターネットを介して世界中のユーザーに提供されています。データは下記のURLからダウンロード可能です。 http://wwwndc.jaea.go.jp/jendl/j40/J40_J.html

日本原子力学会英文論文誌(JNST)最多引用数論文賞

2018.04.23


寺田宏明、中山浩成、永井晴康

原子力基礎工学研究センターの茅野政道前センター長及び環境動態研究グループの共著者らが、日本原子力学会英文誌に投稿した論文「Preliminary Estimation of Release Amounts of 131I and 137Cs Accidentally Discharged from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant into the Atmosphere」(J. Nucl. Sci. Technol., Vol.48, 1129-1134, 2011)が、平成30年3月27日にJNST2017年度最多引用数論文賞を受賞しました。

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故では、事故当初、放射性物質の大気放出量の不明な状態が継続し、事故規模の把握や公衆の被ばく線量評価のために放出量の推移を評価することが喫緊の課題でした。そこで本研究では、単位放出率を仮定した大気拡散シミュレーション結果と環境モニタリングデータの比較に基づく逆推定手法により、放射性ヨウ素(131I)と放射性セシウム(137Cs)の放出量推移を評価しました。大気拡散シミュレーションには、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)や世界版SPEEDI(WSPEEDI)を用いました。環境モニタリングデータには、文部科学省、日本分析センター、日本原子力研究開発機構が測定したデータを用いました。放出量推定は3月12日から4月5日まで行い、放射性物質の大気放出量の推移を世界に先駆けて明らかにしました。この放出量推移データが、放射性物質の大気放出と拡散プロセスの再構築のための基礎データとなり、関連研究分野において国内外から多数引用されることとなりました。

日本原子力学会英文論文誌(JNST)2017年度最多引用数論文賞受賞

2018.04.23


川村英之

環境動態研究グループの川村英之研究主幹らが、日本原子力学会英文論文誌(JNST)に投稿した論文「Preliminary Numerical Experiments on Oceanic Dispersion of 131I and 137Cs Discharged into the Ocean because of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Disaster」(J. Nucl. Sci. Technol., Vol. 48, 1349–1356(2011))が、平成30年3月27日にJNST2017年度最多引用数論文賞を受賞しました。

本研究では、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性核種の海洋環境への影響を把握するため、放射性核種の海洋への直接放出量を推定し、海洋拡散シミュレーションを実行しました。海洋への直接放出量は、測定された海水中放射性核種濃度から推定しました。この推定結果と大気拡散シミュレーションにより計算された海表面沈着量を放射性核種の放出源として海洋拡散シミュレーションを行いました。計算結果を福島県沿岸で測定された海水中放射性核種濃度と比較した結果、測定値を比較的良好に再現していることを確認しました。海洋へ直接放出された放射性核種は、主に沿岸を南向きに拡散した後、黒潮により東向きに拡散したことが示唆されました。

日本原子力学会英文論文誌(JNST)2017年度最多ダウンロード数論文賞受賞

2018.04.23


小嵐淳

環境動態研究グループの小嵐淳研究主幹らが日本原子力学会英文誌に投稿した論文「Atmospheric discharge of 14C from the Tokai reprocessing plant: comprehensive chronology and environmental impact assessment」(J. Nucl. Sci. Technol., Vol. 53, 546-553 (2016))が、平成30年3月27日にJNST2017年度最多ダウンロード数論文賞を受賞しました。

本研究では、東海再処理施設における14C大気放出量と燃料処理量との関連性を導出し、施設運転全期間(1977-2014年)の14C大気放出年代記をはじめて確立しました。さらに、施設周辺の木の年輪の14C濃度を分析することで、大気放出年代記に基づいたモデル計算結果を検証し、過去にさかのぼって東海再処理施設からの14C大気放出による放射生態学的影響は極めて小さいことを実証することに成功しました。

第28回日本原子力学会 熱流動部会 部会賞 奨励賞を受賞

2018.04.23


上澤伸一郎

原子力基礎工学センター軽水炉基盤技術開発ディビジョン熱流動技術開発グループの上澤伸一郎研究員は、「福島第一原子力発電所事故評価のための海水の熱伝達挙動に関する研究」に対して、平成30年3月27日に、第28回日本原子力学会 熱流動部会 部会賞 奨励賞を受賞しました。

受賞者は、福島第一原子力発電所事故の進展を解析するために必要な海水が熱伝達に与える影響を把握するため、海水が沸騰する条件を含めた試験を実施し、その成果をまとめた。得られた詳細なデータを含む知見は、福島第一原子力発電所事故の解析のみではなく、今後の軽水炉安全の向上に向けた検討や、事故対応策等への活用も期待できる。また、析出した海水成分が沸騰や除熱性能の与える影響を明らかにするなど学術面でも新たな知見を得ており、本受賞はこれらの成果が高く評価されたものである。

第27回日本MRS年次大会奨励賞を受賞

2018.04.23


都留智仁

照射材料工学研究グループの都留智仁研究副主幹は、「First-principles and experimental study on interfacial fracture in Mg alloys」の成果により、平成29年12月7日に、第27回日本MRS年次大会奨励賞を受賞しました。

受賞者は、構造材料の重要な性質である「割れにくさ」に注目し、計算機シミュレーションを用いて、どのような合金元素が機能向上をもたらすかを評価する方法を提案しました。原子力機構の大型計算機ICE Xを用いて、電子状態計算に基づく計算機シミュレーションによって材料の割れにくさを向上させる合金元素を探索する手法を開発し、軽いが割れやすいという欠点を持つマグネシウムの「割れにくさ」を向上する合金元素の発見に、この手法を応用しました。その結果、実験結果と良い相関性を示し、これまでの研究から延性(のび)を向上させることが判っていたジルコニウムなどの合金元素が、割れにくさを向上させることを明らかにしました。