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日本物理学会 注目論文(JPSJ Papers of Editors’ Choice)

2022.05.17


日本物理学会 注目論文の受賞

放射線挙動解析研究グループの橋本慎太郎研究副主幹および核データ研究グループの湊太志副主幹らが日本物理学会の月刊学術雑誌(JPSJ)に発表した論文「Estimated Isotopic Compositions of Yb in Enriched 176Yb for Producing 177Lu with High Radionuclide Purity by 176Yb(d,x)177Lu」( J. Phys. Soc. Jpn. Vol. 91, 044201, 2022)が、令和4年3月14日に日本物理学会注目論文に選ばれました。

放射性同位体(RI)の一部には、人体内の腫瘍の検査や疾病の治療に使われているものがあります。その中で、様々な腫瘍の治療に使える特性からルテチウム-177(177Lu)というRIが近年注目されています。しかし、177Luの効率的な生成方法は確立しておらず、その利用数はまだ限定されているため、177Luの世界的な配給を加速させる新しい手法の開発が望まれています。そこで本研究は、加速器を用いて生成した重陽子ビームを176Ybに照射することで177Luが生成される反応過程に着目しました。実際に、天然のYb試料を用いて重陽子の照射実験を行い、176Yb から177Luが生成される量を見積もるとともに、不純物となる他のLu同位体の量も評価しました。また、Yb試料における各Lu 同位体の生成量を計算するモデルを開発し、任意の組成比をもつYb試料を用いた場合の177Luの純度が評価できるようになりました。その結果、医療利用に十分な高純度の177Luが加速器で生成可能であることを示すことができました。本成果は、将来の177Luの安定配給に貢献が期待されるものです。

JNST Most Popular Article Award 2021を受賞

2022.04.01


JNST Most Popular Article Award 2021の賞状

環境動態研究グループの寺田宏明研究副主幹、永井晴康副センター長、環境動態研究グループの都築克紀技術主幹および門脇正尚研究員が、日本原子力学会英文誌(JNST)に発表した論文「Atmospheric-dispersion database system that can immediately provide calculation results for various source term and meteorological conditions」 (J. Nucl. Sci. Technol., Vol. 57, 745-754, 2020) が、令和4年3月18日にJNST 2021年度最多ダウンロード論文賞を受賞しました。

この論文は、原子力緊急時における様々なニーズへの対応と緊急時対応計画に有用な情報提供が可能な大気拡散データベースシステム「WSPEEDI-DB」の開発と応用について報告したものです。WSPEEDI-DBでは、新規開発した計算手法により、様々な気象条件・放出条件に対する高度な数値モデルによる大気拡散計算結果を即座に取得することが可能です。

WSPEEDI-DBにより作成できる過去の長期間の気象条件に対する様々な仮想放出条件の計算結果は、モニタリング計画の最適化や、模擬モニタリングデータ作成等の防災訓練への活用が考えられます。その一例として、島根原子力発電所周辺の1年間の計算結果を用いてモニタリングポスト配置の有効性を評価したところ、現状の配置は、非降水時は空間線量率の空間分布把握に有効だが、降水時はモニタリングポストで把握できない高線量地域が想定され、その把握には機動的測定が有効であることを提示できました。

WSPEEDI-DBの詳細については、こちらのWebサイトもご参照下さい。この論文はオープンアクセスですので、こちらから無料でダウンロード可能です。

JNST Most Cited Article Award 2021を受賞

2022.03.31


JNST Most Cited Article Award 2021の賞状

放射線挙動解析研究グループの古田琢哉研究主幹、高橋史明研究主席が、日本原子力学会英文誌(JNST)に発表した論文「Study of radiation dose reduction of buildings of different sizes and materials」(J. Nucl. Sci. Technol., Vol. 52, 897-904, 2015)が出版後5年間で多数の引用がなされたことから、令和4年3月18日にJNST Most Cited Article Award 2021を受賞しました。

この論文は、土壌中の放射性セシウムから放出されるガンマ線に対して、建物の大きさや材質の違いにより内部の線量低減効果がどのように変化するのか、モンテカルロ放射線輸送コードPHITSを用いて数値的に解析した研究結果です。高密度で厚い壁材の建物ほど低減効果が大きいという違いがあるものの、どの壁材の建物でも床面積の対数スケールの増加に対し、屋内の線量率が線形に減少するという共通性が明らかになりました。この傾向は、日本の典型的な建物の線量低減効果を調べた以前の研究結果とよく一致しました。本成果は福島第一原子力発電所事故後の住民帰還における被ばく線量レベルの予測、低減対策等へ活用が期待できるものです。