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2025.01.27
原子力基礎工学研究センター原子力化学研究グループの柳澤華代研究員が、「流れ分析を組み合わせたICP-MSによる極微量の元素及び放射性核種の分析」に関して、日本分析化学会関東支部2024年度新世紀新人賞を受賞しました。
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)は食品、環境、半導体、材料化学、医薬学、生化学、地球惑星科学などさまざまな分野に普及しており、原子力分野でも多くの放射性核種の分析に利用されています。しかし、従来の分析法は前処理操作が煩雑で、分析者の熟練が必要であることに加え、放射性標準試料を扱うことによる汚染や被ばくのリスクが課題となっていました。本研究では、流れ分析を用いた自動前処理システムと同位体希釈法を活用した、標準試料を必要としない自動分析法を開発し、従来法では測定が難しかったSr-90の分析や微量元素の定量マッピング分析にも本法が適用できることを実証しました。これらの成果は、ICP-MSによる微量元素及び放射性核種の分析を簡便、迅速、スキルフリーで行えるようにし、かつ、安全性の向上にも寄与するものです。これにより、福島第一原子力発電所の廃止措置や放射性廃棄物の処理・処分、環境放射能監視などの現場で役立つ分析技術として、原子力安全の向上と持続可能な社会の実現への貢献が期待されます。