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熱流動研究内容

2.1.2 静電容量型ボイド率計測技術

 (1)はじめに
 伝熱管内の水と蒸気の割合であるボイド率を計測する方法として、従来の二相流の電気抵抗計測法に対して、静電容量計測法を開発しました。これは水質に依存しないで、細管内にボイドがない状態から完全にボイドで満たされた状態のボイド率を計測できる技術です。計測方法は、高周波電源を電極に印加して、電極間を流れる二相流の静電容量を計測します。この計測結果を、計測特性式を使用してボイド率に換算します。

 (2)計測原理
 大気圧及び高温高圧条件で調べたところ、二相流のボイド率と電気抵抗(抵抗成分R、静電容量成分C)の関係は、一定の計測特性(双曲線関数)を示すことを見出しました。そこで、この関係を使って測定値を校正することによってボイド率に換算することを考えました。流路内に対向するように取り付ける2つの電極に定電圧交流を印加し、電極間を流れる二相流の電気抵抗を計測することによってボイド率がわかります。

 (3)特性試験
   1)大気圧試験
 BWR燃料集合体を模擬した4×4本バンドル試験体の内部に、図2.3.2.1に示すように対面させて電極を設置して、電極間を流れる二相流のボイド率を調べました。
   2)高温高圧試験
 37本稠密燃料集合体を使って、図2.3.2.2に示すように水平断面方向に対して燃料棒を挟んで対面する位置に電極を取り付けて、2つの電極間のボイド率を計測しました。

 (4)試験結果と考察
   1)大気圧試験
 4×4バンドル試験体で計測した結果を図2.3.2.3に示します。縦軸は無次元電流であり、0の場合は液体100%の状態、一報、1の場合は気体100%の状態を表します。横軸はボイド率です。図中、黒丸はC成分、白丸はR成分、実線はマックスウェル(Maxwell)の式から求めた値です。計測結果はMaxwellの式によく一致していることから、この式を使って、計測した電気信号をボイド率に変換しました。
   2)高温高圧試験
   図2.3.2.4は、2MPaの圧力条件で計測した37本稠密燃料集合体内のボイド率とクオリティの関係を、異なる流量に対して示したものです。ここで、クオリティは流路内における蒸気と水の質量流量に対する蒸気の質量流量の割合を示します。同じボイド率の場合には、流量が増大するほどクオリティが減少することがわかりました。

 (5)まとめ
   開発したボイド率計測技術は、従来の計測法では難しかった液体100%から気体100%までのボイド率計測が可能であることから、新しい二相流計測技術として広い利用が考えられています。


図2.3.2.1 4×4本バンドル試験体内ボイド率計測のための電極の取り付け方


図2.3.2.2 37本稠密燃料集合体内ボイド率計測のための電極の取り付け方


図2.3.2.3 4×4本バンドル試験体で計測した電気信号とボイド率の関係


図2.3.2.4 37本稠密燃料集合体内のボイド率とクオリティの関係