原子力システムで使われる材料中では、核反応で発生した中性子の衝突により、原子が元いた場所から弾き飛ばされて集合したり、原子がなくなった空隙同士が集まったりと、ミクロな構造変化を通して、材料がもつ強度や靭性の低下、体積変化といった、マクロな特性も変化します。当グループでは、実験研究と計算科学的手法の連携を図りつつ、原子力材料の特性変化の機構解明や挙動予測に向けて、様々な実験研究やシミュレーション研究に取り組んでいます。
実験研究では、福島1F事故以降、世界的に研究開発が行われている、事故耐性燃料(ATF)被覆管の候補材料に関する研究、応力腐食割れ(SCC)や照射損傷に関する機構解明を目指した基礎基盤研究を進めています。また、計算機シミュレーション研究では、現実の材料のマクロな力学特性を予測するために、大型計算機を使用した大規模原子シミュレーション技術と機械学習ポテンシャルによる欠陥構造の直接解析などを進めています。
その他、分離変換技術として期待される加速器駆動未臨界システム(ADS)で使われる材料と液体金属に関する共存性や、炉心材料の照射影響に関する実験研究も行っています。